What's New 2009

引っ越して来て5ヶ月があっという間に過ぎました。やっと体が部屋に馴染んだ感じです。でもまだ街には馴染んでないかな。どこかまだ「他所の街」という気がします。馴染みの飲み屋がある訳でもないし、友人がいる訳でもないし。まあ正直なところ、それらを切実に必要としているのではないのです。切実に欲しいと今思うのは、来年の個展のためにもっと時間が欲しい。キャンバスと絵具と広いアトリエと、もう少し思い通りに動く「手」が欲しい。それぐらいですね。今のところホントに欲しいのは。来年は1月に、いつものSOLでの個展が決まっています。4月には渋谷のウイリアムモリスで個展。あと足利市立美術館でも予定があります。美術館はギャラリーと違って天井が4メートルもありますので、100号クラスの大きい作品を6点は作って下さいと言われています。最近大きなモノを作っていないので、楽しみでもあり不安でもありますが、引き受けたからには作らねば........

8月から耳鼻科に通っています。右の耳が難聴です。何年も前に時々耳鳴りがしていたのですが、ずっと続くのでもなく普段の生活に何の支障もないので放っておいたのがいけなかったのですね。徐々に聞こえが悪くなっていたみたい。今ははっきり自覚症状があって、右側から話しかけられても気がつかない事があります。
内緒話などできません。で、悪い話は右の耳で聞く事にしています......。仕事場の同僚に言わせると「聞こえないのは、心を閉ざしてるからじゃないですか」だってさ。ふざけて言っているのだけどうまいこと言うな。
それもあるよと僕は大きく頷いたのです。若い頃から僕は自分をなかなか解放できずにいるからなあ。それももう僕自身の「地」になっているから「これでいいのだ」と了解済みで、若い頃みたいには悩まない。こんな奴なんだなオレは、と他人事みたいに見ている自分がいます。

雨の日曜日だし、きょうは何処にも出かけず、珍しく3時頃からビールを飲んでいます。
随分とひさしぶりに本を読みながらです。

引っ越して来て一ヶ月。まだ完全に部屋の整理ができていないけど、なんとなく自分の部屋らしくはなってきました。まだ街の「探検」をしていないので、近くの商店街だけが今のところ自分の狭い生活圏です。
若い頃だったら、まず新しい街をうろうろ歩いたのだろうけど、「興味津々」という感情が何事につけても歳と共に薄れてしまうのか....というか、本来僕は好奇心旺盛ってタイプでもないですけどね。

部屋の整理をしていて、これからの自分に本当に必要かどうか、と迷ったものに古い手紙や日記や写真がありました。引っ越しの段ボールにいっぱい。容赦なく?捨てたつもりでも、まだまだです。差出人の名前も顔も思い出せないのに、手紙の文面は親しげに20代の頃の僕にカタリかけています。さすがにその手紙は捨てました......。

そういえば、引っ越して10日ほど経って、不動産屋から電話がありました。前の部屋をリフォームしようとしたら、押し入れの上段の奥にバッグの忘れ物がありましたがどうしましょうか?というものでした。送ってくれるというのでお願いしました。生意気な頃のノートが三冊と手紙も何通かありました。今は書けないような難しい漢字と、背伸びした文章が書かれています。今の時代だったら即変換で漢字も出てくるけど、あの頃は辞書を片手に手書きだったなあ。友達の手紙も、衒学趣味というか背伸びして、気取ってると自分では思っていないのが、今思うと愛おしいのですよ。あの頃は、友達も僕もいっぱしの人間様のつもりでいたなあ。この懐かしいやら恥ずかしいやらのノートは送ってもらってよかったので、捨てません、たぶん....。

個展が終わってほっとしています。
寒い中わざわざ足を運んで下さったみなさんに、心からお礼を言いたいです。
予定していた大きな作品はできなかったけど、今回はこれで良かったのだろうと思いました。
大きさに関係なく充実した物を作りたい。まずは内容が肝腎だと思っていますから、大きくてもスカスカの味気ない物は出したくないです。

今年は作品を真面目に「言葉」でもう少し考えてもいいかなって、思っています。言葉の支え無しでも自立できる作品を作りたい、ということばかり今まで思っていたので、「言葉」に対して皮肉ばかり言ってた気がします。「ご立派な言葉」やテキストでのアリバイ作りなんていらねえよとばかりにね。でも........なんだかんだ言っても言葉は大事ですよね。

さて、4月に三人展がありますのでまた作り始めます。
個展の作品を少しずつupします。

平原辰夫展 2009.1.26（月）-1.30（土） 11:00am〜19:00pm (最終日17:00まで) GALERIE SOL 〒103-0027　中央区銀座6-10-10 第二蒲田ビルb1f　tel 03-5537-6988 ●地下鉄銀座駅下車(A3)出口 作品画像および地図をクリックすると拡大されます

新しい年が始まりました。
正月はいつもは姉の所に年始に行って、甥や姪に会ってお酒を飲むというのが通例なのですが、今年は目前に迫った個展の作品ができていません。
で、姉には「キャンセル」の電話をして、朝から手は絵具だらけなのですが作業は進んでいません。最初の展示の予定を変更するか、それとも我慢して踏みとどまるべきか迷っています。正月早々溜め息での始まりです。

コムヅカしい「芸術」の事など忘れて、自分の作りたい物をもっと素直に作れればいいな。今まで様々な作品を見てきた自分の目、いろいろ作ってきた自分の手を信じてやらなきゃね。

牛の写真は築地本願寺で撮ったものです。太い角や張りつめた筋肉が実に逞しいです。この揺るぎのない面構えもいいな。さあ、僕も無い物ねだりなどせず、自分の「地」を出して、今年も作品を作る事を楽しみましょうか。

2008年のページを見る
2007年のページを見る
2006年のページを見る
2005年のページを見る
2004年のページを見る
2003年のページを見る